東京高等裁判所 昭和31年(ネ)1433号 判決
思うに動産(本件にあつては伐倒木)仮処分の執行吏が目的物件を占有保管中、民事訴訟法第七百五十条第四項後段の準用により目的物を競売し売得金を供託したときは、右換価供託金は目的物に代わるものであるから、若し仮処分債権者の執行委任の解除により仮処分執行を解放した場合には、該仮処分執行前の原状に復せしめるため執行吏は直ちに右換価供託金の還附を受けてこれを仮処分債務者その他そのものを受け取る権利を有する者に交付すべきは当然である(執行吏執行等手続規則第四十八条第二項、第五十一条第五十九条第六十条参照)しかしてこの場合右仮処分の本案訴訟において仮処分の目的物の権利の帰属が確定しているときは、執行吏としては右本案の判決により確定せられたその物を受け取る権利を有する者の申請によりその者にこれを交付すべきではあるが、本件の如く未だ本案訴訟において権利の帰属が確定しないうち仮処分債権者の申出によつて仮処分執行を解除した場合には執行吏は仮処分執行前の原状に復せしめるため仮処分の目的たる物件ひいてこれに代わる換価供託金を仮処分債務者に返還すべきものであることは多言を要しない。
(坂本 内海 小沢)